チャットボーイ☆ミーツボーイ

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あっという間に年が明けた。チャットしている間に気がつけば年をまたいでいた。その境目はだだの昨日と今日だ。別に感慨深いものもない。 母親から電話があった。 「おめでとう」は言えないけど、朔也のアパートまで雑煮を作って届けると言っていた。 父親がいる時は1度もそんな事しなかった。母親は父親の為だけに生きているような女だ。よりどころを失って辛いのだろう。自分はその代わりにはなれない。 アイツから電話もLINEもチャットの申請もなくなった。当たり前だ。自分をあんなに侮辱しといて連絡できる訳が無い。謝罪もしてこない。怖くて謝罪出来ないんだろう。 れいじが来なくなってスッキリするかと思っていたのに、置きみあげに投げつけられた言葉を思い出すだけで腹が立ってくる。電話をかけて文句の1つでも言ってやろうかと何度も思ったがれいじを傷つける言葉が浮かんでこなくてやめた。 そうしているうちにあっという間に1月は終わった。 二月の半ば、前田さんとチャットが終わって身体を拭いているとLINEが入った。 れいじからだった。朔也は慌ててそのLINEを開いた。謝罪の言葉だと確信して食い入るように文字を追った。 「お久しぶりです。サクラちゃん。もう君には関係ないと思うけど報告します。彼女が出来ました。もう連絡するつもりはありません。だから僕のLINEを削除して下さい」 朔也はスマホを床に落とした。 謝罪とばかり思っていたれいじからのLINEが彼女ができた報告だった。 黙っていれば済む事なのにどうして? きっとそれは………あの日の仕返しだ。勝手に自分が謝るはずだと思っていただけでれいじは謝る気なんてなかったのだ。 ずっと自分を恨んでいて仕返しをしようとアイツは思っていたということだ。 あの野暮ったい男が彼女?どうせれいじにお似合いのブスだ。アイツの好きな小さくて可愛い彼女なんて出来るはずが無い。 「裏切り者!!」 口から言葉がついて出た。 言った言葉の意味が、朔也自身も分からなかった。
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