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 ここで二人で過ごすようになって三週間後、とある出来事が起きた。 と言っても彼、そして生徒会長に何かがあったわけではない。 しかし編入してきた生徒が問題を起こした。 飾られていた高級なツボを割ったそうだ。  普通に一般市民が通うような公立高校であればそんなものを置く余裕もなく、走り回る生徒もいるため置けるわけもない。 しかしこの学校は金持ちばかりが通い、制裁などとある意味では未熟で幼い部分があったとしても、廊下を走り回ったり雑巾で野球や箒でチャンバラなんて遊びはしない。というか小さい頃から親以外に家庭教師からも躾けられているため、そこまで落ち着きの無いものはなかなか珍しい。  長い休み時間にいつものように昼寝をむさぼる生徒会長を花に飯を食べ、いつの間にか彼自身も癒やされつつ生徒会長の頭を撫でる。 なんて穏やかな時間を過ごしていたが、唐突に頭上から大声が聞こえビクリと肩を揺らす彼ら。  撫でていた物体も同じタイミングで揺れたのを感じ、起きてしまったのだと気づき撫でたまま顔を覗き込む。  先程まで変化の無かった頬が鮮やかなピンクに染まっているのを確認すると、小さく噛みしめるように笑い声をあげてしまう。
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