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(まあ、誰かかしら来るよな。俺だけの場所では無いわけだし)  いつもと同じくテーブルに昼飯の入った小さなバックを置く。横向きにベンチに寝転がる男子生徒の顔を覗き込むために、ベンチの前にしゃがみ込む。寝息が聞こえるのでどうやら気持ちよくお昼寝しているようだ。 (あー?…。これ生徒会長だったか?)  なぜこんな所に学校の帝王様と恐れられる生徒がいるのかは謎であるが、彼はベンチを占領されいることに複雑なため息を吐く。 (そう言えば箒を出したときに椅子があったような…)  以前箒を取り出した小屋のような建物に近づき扉を開き中を覗く。ベンチとテーブルとお揃いの、折り畳みでない一人用の椅子を発見し取り出す。こちらも腐っていないようで座れそうだ。座ったときに生徒会長が見える向きでテーブルの横に置く。 埃を払い先日のタオルで水拭きし、片付ける。 乾くまでしゃがみ込み、生徒会長の顔を至近距離でまじまじと見つめる。 (へー、本当にきれいな顔しているんだな。んー?男にきれいは変か?まぁモデル以上にイケメンだな)  掌で椅子に触れ乾いたか確かめ座ると、バックを開き昼飯を取り出す。 生徒会長の顔を花に見立て、美しい風景に映える花見気分のまま食べ続ける。  数分で完食するが、起きる気配が無い。
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