流れによりて縁は結ばれん

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この世界は、見えない理を中心として、あらゆるものが流れ、流転している。 川の水が、その場に留まれないように。  同じ日が、二度は訪れないように。  生と死が、輪廻の下に循環するように。  その流れに身を置く限り、決して避けることはできない、見えない力の奔流。  僕たちは、その奔流の中で、日々を生きている。  けれど、その流れを受け入れ、移ろう世界に身を委ねた時、流れは新たな兆しを生み、世界を押し広げるーー 午前七時半。突如鳴り響いたインターホンで、僕はまどろみから呼び戻される。 再度襲いくる睡魔に身を委ね、それを無視して布団を深く被りなおすが、そんなことはお構いなしと言わんばかりに、鳴り続けるインターホン。 正直、まだ寝かせて欲しい。 脳裏に鳴り響くインターホンに呻き声を上げつつ、布団の中でモゾモゾしていると、今度は甲高い女性の声が聞こえてきた。 「おはよう、るいくーん。いるー?」 ドアの向こうから聞こえてくる、聞き覚えのあるような声。 痺れを切らした僕は、小さく欠伸をしながらも、まだ覚醒しない頭で、ふらふらと玄関へと向かい、そのドアを開けた。 「……はい……」 「おはよう、るい君。……あれ。もしかして、寝てたかしら……?」 そこには、黒髪のロングヘアをした女性が、バツの悪そうな表情で立っていた。途端、寝ぼけていた僕の意識が、一気に覚醒する。 「す、鈴香さん!? あ、あの、はい! えっと、お、おはようございます……」 早朝から、とんでもない姿を見られてしまった。恥ずかしさのあまり、思わず身が小さくなる。  正直、穴があったら入りたい気分だ。
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