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「ついに今日でありんすな」 「はい」 「蛍火ちゃん、固まりすぎでありんす」  美鳥は笑った。一方の蛍火は立ったり座ったり、水を飲んだりと落ち着かない。 「ちょっと外へ」  仕舞いには店の外へ出て行ってしまった。 「蛍火! 逃げるのか!?」  遣り手がすぐさま追いかけるが蛍火は両の手を合わせた。 「神社に行くだけでありんす。知っていんしょう? わっちが何かあると神社にいく癖があるのを」  遣り手は睨むように難しい顔をした。 「このとおり。絶対に足抜けはいたしんせん」 「……日が暮れるまでには帰ってくるんだよ」  そう言うと遣り手は踵を返し店へと戻って行った。  蛍火は胸に手をやると歩き出した。
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