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「もー、帰ろ。勉強なら明日でも出来んじゃん」
「それはそうだけど。璃子、君は何か友達と遊びに行くような話してなかった?」
彼女が何時もつるんでいる不良仲間の生徒達。たまたま、璃子が彼女達と話しているのを聞いた時、カラオケやらなんやらと話していたのだ。
「それは大丈夫。てか、ヒロが第一優先に決まってんじゃん。あいつらは二の次」
「それはまずくないか……?」
「知らんし。てか、あいつらにも言ったけど、あたしはヒロがどう動くかで色々決めてるわけ。ヒロがあたしに会いたいって言えば、どんな約束でもドタキャンするから」
彼女は良くも悪くも一途だ。それは付き合った当初から変わらない。彼女の友人達もそれは分かっているらしい。だが、友人曰く「ここまで男に尽くしているのは初めて見た」そうだ。
彼女の過去遍歴については、僕は聞かないようにしていたし、彼女もあまり話したがらないので放置していた。しかし、彼女の友人達と話す機会があった時に色々教えてくれた。
来るもの拒まずだが、誰かと付き合ったとしても一定の距離から絶対に近づく事は無かった。付き合っているのかも分からないような付き合い方をしていたらしい。
それが、ここまでになるとは想像出来ないと言っていた。
「一つ聞いても良いかな?」
「何?」
「何で僕を好きになったの?」
「何で? 考えた事ない。何か、ヒロなら全部許せるって直感で思った。あんたに抱かれた時、やっぱり間違ってなかったって思ったし」
「そっか」
「何、また誰かに何か言われた?」
「いや、違うよ。気になっただけだよ」
「なら良いけど。てか、帰りに夜ご飯の買い物して帰ろ。あたし作るから」
璃子は見た目に反して、料理がかなり上手い。どうやら父親が有名なレストランの料理人らしいが、手ほどきを受けたわけでもない。
「楽しみだよ」
「あはっ。ヒロ、まともに料理出来ないしね。遅くなったら面倒だし、はやくいこ」
僕達は学校を後にした。
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