第一章 天気雨の心

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 弥生(みお)に復縁を求めた時、普通の精神状態ではなかったと今は自覚している。焦りと動揺が、いつもならありえない態度と言葉を取らせていた。  結婚を強要する女と完全に切れたと実感すると、健司は以前の性格に戻っていた。多少、偏見はあるが、礼儀をわきまえているという。別れた恋人を取り戻すには遅すぎたが……  「でも、会社作る時に金が()るだろ?将来的に予報業務で採算取れたとしても」  当たり前の疑問に智之は答えてきた。  「行成にはスポンサーがいるんだ。昴流(すばる)高橋(たかはし)さんだよ。  芽生(めい)も経営に入るから、昴流は喜んで出すってさ。高橋さんは、まぁ、ね」  ここで智之は口ごもった。健司は分かっているというように返した。  「高橋さん、弥生のために出すんだろ?知ってる。月森さんに言われたんだ。弥生のこと妹だってな。  結婚したのか?」  探る意図を込めた。春陽は弥生のことを将来の妹と言った。既に月森家に挨拶したと、弥生も言っていた。結婚を決めていても不思議ではない。  今さらどうしようもないが知りたかった。
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