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でも、智之の告げた内容は、昴流の前職を嫌でも思い出させる。その、ホストで得た潤沢な資産を窺わせた。
それを、妻のために惜しげなく使う……健司はそこまで誰かを愛したことはなかった。
「そっか。それなら安心だよな。何をするにも金だからな」
差しさわりのない言葉を返した。正しいので、智之が頷いている。
「でも、高橋さんって、どのくらいすごかったんだ。実は詳しく知らないんだ」
健司の知る冬夜は、月森総合病院の院長の次男で、県内トップの林道高校を首席卒業。当然のように医科大学に入ったが、途中退学して家を出たらしいというところまでだ。
姉の先輩で、彼の元カノになる女性から聞いた。
偶然、姉の家に遊びに行った時、彼女と会った。お互いの愚痴を話すうちに、両方が復縁を考えて、しかも、その相手同士が付き合っていると分かった。
当然、協力し合おうと話したが……
彼女のその後は、弥生から聞かされた。冬夜との復縁に失敗して、完全に無関係になったのだと。
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