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その後は、平凡な近況報告に変わった。コーヒーを飲み終わる頃、健司は智之と別れた。
「いろいろ教えてくれて、ありがとう。もし、良かったら連絡先交換しないか」
少し考えた智之だったが、健司の申し出を受けてきた。
「うん、いいよ。
でも、隣りのビルに大学の同級生いるって珍しいよな」
「ああ。俺も思ったね」
約束して会うほど親しいわけでないが、共通の話題がある。何かあれば連絡してもいいと思った。交換したのだから、智之も同じ気持ちだろう。
今日の会話の中で問題ない部分が、行成経由で弥生へ伝わるはずだ。
安心させたい気持ちと、大変な状況なら、彼女はやり直してくれるだろうかという、不可能になった願いが両立していた。
弥生を失ったという心の痛みを抱えながら、毎日を過ごしている。時間が痛みを和らげてくれるまでは……
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