第一章 ようこそ、地獄の閻魔庁へ

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********* 高校の修学旅行先が、本来沖縄だったのに何故か取りやめとなって京都と大阪になった。生徒達は大ブーイング。しかし行けば行ったで盛り上がるものだ。 私は女子のグループで賑やかな京都の八坂神社前の通りを清水寺方向に進み、途中で路地に入ってみた。 少し歩いて右手に現れたのは『六道珍皇寺』という寺。 朱色の門に瓦屋根の門。 その前には少し明るい茶の石が置いてあり、そこには『六道の辻』と刻まれている。 皆で門をくぐり、私は急にふらりと呼ばれるように一人、歩き出した。 小さな庭園を通り、奥に現れたのは古びた井戸。 白い石で正方形に囲まれたその井戸の周りにはしめ縄がしてあり、その上には木で出来た格子状の蓋が被されてあった。
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