第一章 ようこそ、地獄の閻魔庁へ

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「あ、あの、私、高校生、なんですけど」 唐突に壮大な話しをもちかけられ、私はそれしか言えなかった。 どう考えても選ぶ相手を間違えている。 「えぇ。ですので、そうですね、大学生になってからではいかがでしょう」 思い切り話しが噛み合ってない!! 笑顔で言った篁さんに、でかい声で返しそうになったのを堪える。 「私、東京に住んでいるんですが」 「京都は良い大学が沢山ありますよ」 東京の方が沢山ありますよ!! 何だか東京よりも京都が遙かに素晴らしいという感じをひしひしと味わいつつ、断る理由を話す。 「さすがに京都で一人暮らしはお金がかかりますし親も心配します。 どこの大学でも良いという訳でもないですから」 頬が引きつりながらそう言うと、篁さんは着物の胸元から扇を出して、パン、と広げると口元にあてた。 そして周囲にいる人々とヒソヒソと話し出している。 やだ、なんか嫌な予感しかしない。
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