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「亡者がせっかく閻魔庁に来たのに想像と違ってはがっかりさせるであろう?
だから仕事ではあの姿をしておるが、大抵好きに姿は変えられるのじゃ。
そもそも閻魔大王は地蔵菩薩でもあるのを知っておるか?」
「・・・・・・すみません、帰っても良いでしょうか」
少女がにこにこと話しているが、もう内容がさっぱりだし何より皆が心配していないか気になって仕方が無い。
ここに来てだいぶ時間も経っているし、捜索願なんて出されていたら大変だ。
「おお!客人に茶の一つも無いとは!急ぎ用意せよ!!」
女の子の声に、確かに喉は渇いているけどそうじゃない、そうじゃないんですという言葉が出せない。
すぐに私の椅子の横に四角いテーブルが置かれ、冷たいものから温かいものまで数種類の飲み物に、焼き菓子らしきものまで用意され、周囲の笑顔の圧力により、私は再度椅子に座ってそれを口にせざるを得なくなった。
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