第一章 ようこそ、地獄の閻魔庁へ

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私の言葉に、閻魔大王と篁さんは顔を見合わせる。 そしてまたひそひそ話を始め、しばらくすると、にこり、と篁さんが私に笑いかけた。もう嫌な予感しか無い。 「わかりました。小夜子殿からの返事は保留と言うことで」 「私、断ってますよね?はっきりと!」 何をどうすれば都合の良いように解釈出来るんだろうか。 「例えば、小夜子殿が叶えたい願い、というのはありませんか?」 篁さんが唐突に笑顔で聞いてきたけれど、これはいわゆるまずい流れだ。 私は目が据わりながら篁さんを見ていると、閻魔大王が声をかけた。 「彼氏はおるのか?」 「いませんが・・・・・・」 無邪気に思える質問に思わず素直に返事をしてしまった。 「どんな男が好みじゃ?どういう男と婚姻したいとかあるじゃろう?」 「な、なんです、急に」 私が警戒すると、閻魔大王はキラキラした目で私を見る。
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