第一章 ようこそ、地獄の閻魔庁へ

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「頭が良くて、イケメンで、背が高くて、お金をしっかり持っていて、私を大切にしてくれて、浮気しない人、かなぁ」 ほうほうと閻魔大王はうなずき、篁さんは貼り付けたような笑顔だが、そんなやついるか、というような言葉が顔に書いてある。 「あくまで理想です。 そんなのを全て満たす凄い人がいたとしても、私の結婚相手になるなんて思っていませんよ」 ため息をついて言えば、閻魔大王は腕を組み、ううむ、と悩み出した。 可愛らしく首を右に左に傾け難しそうな顔をしていたが、しばらくして隣の篁さんに指でちょいちょいと合図すれば、篁さんは扇を広げ閻魔大王との会話をこちらに聞こえないようにこそこそ話し出した。 嫌な予感しかしていない、ここに来てからずっと。 そして二人が私の方を向き、笑顔を見せた。 あぁ、なんかきっと私は無理なのだろう、何かはわからないが。
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