第一章 ようこそ、地獄の閻魔庁へ

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「その理想、この仕事を受けることとなれば叶うぞ?」 「・・・・・・閻魔大王ともあろうお方が嘘はいけません」 冷めた目で私が言い切っても、閻魔大王は笑顔を崩さない。 「嘘では無い。だがここで働かねばその縁は繋がらぬ」 明るい声で話す閻魔大王を篁さんは見て、正面の私に顔を向けた。 「閻魔大王がお話ししていることは本当です。 閻魔大王はいくつか小夜子殿がどのパターンでこの後を過ごすかでいくつかのお相手を確認したそうなのですが、ここで働くことでその理想を叶える殿方と縁を結び、見事ゴールイン、幸せな結婚生活が待っているとのことです」 「胡散臭すぎます」 宗教だ。いやここは地獄だから宗教まっただ中か。 そもそも閻魔大王にそんな先の人生を見通せる力があるのかなんて聞いたことが無い。
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