第一章 ようこそ、地獄の閻魔庁へ

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「この井戸を通ってここに来た時点で、その資格があるのじゃ。 誰も完璧などを求めてはおらぬ。 この私ですら間違いを犯す。だから他にも王がいるのであり、間違いがあれば仏が審判に文句を言いに来る。 その一つに小夜子がいる、それだけのことじゃ」 「私は可能性のある人々を何度もあの井戸に招きましたが、誰もここにたどり着くことは出来なかった。 以前使えていた現世の者は事情により退きましたが、それから数十年探して回り、やっと小夜子殿に出会えたのです」 「もしかして井戸から突き落としたのは」 「押したのは私ではありませんが、私が獄卒に命令して行ってるいわば試験です」 「頼んでも無いのにあんな酷い事して、ウェルカム言われても説得力無いですね」 こいつがやはり黒幕か。 私がじろりと睨んでも篁さんは涼しい顔だ。
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