第一章 ようこそ、地獄の閻魔庁へ

3/54
1347人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
********* 広い、簡単には向こうの壁まで見えないほどに広い、古代中国の宮殿のような場所。 その部屋はビルの何階分に当たるかわからないと言うほど高さがあり、天井は格子状に木が組まれ朱色で塗られた上に金で装飾が描かれている。 そんな部屋の真ん中には真っ白な死に装束を着た若い男が一人、心細そうに立っていた。 男の先には、大きな朱色の机、周囲には色が二段になった生地がかけられ、机の上には硯、筆、巻物のようなものが置いてある。 豪華で大きな椅子には古代中国で地位の高い者が着ていそうな黄色い衣をまとい、頭には『王』と書かれた冠、黒く長い立派な口ひげ、真っ赤な肌に左手には笏(しゃく)を持った大男が見開いたつり目で目の前の男を凝視していた。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!