第一章 ようこそ、地獄の閻魔庁へ

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「存じ上げております。何卒」 私がそう返すと、大男はふむ、と考え込んで、 「考慮はしよう」 その言葉を聞いた亡者は泣きながら、ありがとうございますという言葉を繰り返し、獄卒に抱えられ部屋を出て行った。 大きな扉が閉まり、周囲の者達が巻物を確認したり鏡を元の位置に片付けたりしている。 「これで、本日の仕事は終わりでございます」 大男の近くにいた漢服まとった官僚のような老人が巻物を見ながら言い頭を下げると、大男は、ふーと大きなため息をつき疲れたように大きな肩を動かした。 「終わりじゃ!甘い物を持て!!」 突然可愛い女の子の声が響き、獄卒達がバタバタと可愛い柄のテーブルセット、菓子や果物、茶などを用意し始めた。 「小夜子(さよこ)~」 呼ばれて御簾から出てきた私は、テーブルセッティングが終わるのをぴょんぴょん跳ねながら側で待っている、呼んだ相手を見て苦笑いする。
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