第二章 愛と欲望と衆合地獄

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「知りませんよ?そのうち後ろから刺されても」 「鍛えてるし、何とかなるだろ」 さも気に留めずにパソコンに向かう先生を見てため息をつく。 イケメン俺様の思考、私にはやはり理解できない。 確かに先生は身体を鍛えているらしくいわゆる細マッチョという部類なのかもしれないが、動脈切られたら一発なのに、というのを思っていたら、仕事しろと注意されて私は宛名書きを再開した。 翌日。 早めに来て来客準備をしていると一之森先生が近寄ってきた。 「今日の来客、会っても驚くなよ?」 「どういう意味ですか?」 「ドラマとか見る方か?」 「うーん、あまり」 「それでもおそらく知ってる相手だ。いつもと同じ来客対応をむしろするように」 「もしかして女優さんなんですか?」 先生は、口の端を上げただけで答えてくれない。 くぅ、本当は私が驚くの楽しみたいんじゃ無いのかな。 とりあえず、失礼の無いようにしなければ。
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