第二章 愛と欲望と衆合地獄

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「なんで勝手に彼氏がいないって決めつけているんですか!」 「ん?何か間違いを言ったのか?」 上から見下ろすように言われ、むぐ、と押し黙りそうになったが、腹が立って思わず言ってしまった。 「私には、素敵で素晴らしい旦那様が待ってるんです!」 先生が面食らったような顔で、ムキになっている私を見ている。 そして、自分の言った言葉がもの凄くアホらしい内容だと気が付いた。 「なんだ、婚約者がいるのか」 真面目に返されて言葉に詰まる。 つい、あの閻魔庁にバイトに通うきっかけの要因、いや、その一つを馬鹿正直にバラしてしまった。いや、落ち着こう、先生にそれがバレたわけじゃ無い。でもお前など誰も相手にしないだろうと言われているようで気持ちが収まらない。 「ま、まぁ、そんな感じです」 思わず意地を張ってそういう風に返すと、先生は私をしげしげと見て軽く笑った。 「そうか。その歳で言い切れるとはよほど良い相手なんだな。 まぁ変な恋愛重ねるよりその方が良いかもしれないな」 先生は特に馬鹿にするような言い方でも無かった。 それが妙に違和感を感じたのは何故だろう。 「もう遅い。俺も帰るから途中まで送っていこう」 私は頷きつつ、何を馬鹿な話しをしてしまったのかと後悔していた。 閻魔ちゃんの言葉を疑うと言うより、そんなうまい話があるわけ無いと内心では思っているからだ。 こんな特に取り柄も無い私に、二次元の王子様のような素敵ポイント全部盛りみたいな男性が結婚相手になるだなんて実感が湧かないし現実的じゃ無いだろう。 でも否定しつつその可能性に期待してしまう。その時点で馬鹿だなとは思うけれど。
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