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「ただいまー」
「お疲れ様です。あれ? その子は?」
センターに戻ってきた茜崎さんの後ろに、小さな女の子がいた。
ここは迷子センターではないのだけれど。
「しほです! ラビくんいますか?」
「ここに来る途中で会ったのよ。外にはご両親もいるわ」
それだけ教えてくれると、茜崎さんは放送室に入って行った。
「ラビくん、いますか?」
「いますよ。はい。この子であってますか?」
「ラビくん!」
ぬいぐるみを差し出すと、しほちゃんはギュッとラビを抱きしめる。嬉しそうに「ラビくん、落としちゃってごめんね。おかえり」と言っていた。
ラビもどこか安心したような表情に見える。
「おねえさん、ありがとう!」
「どういたしまして」
お母さんと手を繋いで歩いて行くしほちゃんを見送ると、私はまたセンターに戻った。
「あ、このぬいぐるみの放送忘れてた。千崎ー」
「もー。仕方ないですね」
ーーピンポンパンポーン
『落とし物のお知らせですーー』
完
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