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「ママー! この桜の木、すっごく大きいねーっ」
夕日に照らされた紅葉のような、小さな柔らかい手が触れた。
「そうねー。むかーし、ショウちゃんのおじいちゃんのパパが、お世話してた木なんだってよー。
さぁ、もう日が暮れるから帰ろーか」
「ふーん。じゃぁ、ぼくもお世話するーっ。桜さんまた来るね」
あぁ、やっと来てくださったのね。
翌日、空襲で焼け野原になった場所で、ただ一本残った桜が、季節外れの花を咲かせた。
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