自販機横の少女

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 次の日。  自販機横に、もう少女はいなかった。  ほんとうに彼女は、金木犀が見たかっただけだったのかもしれない。  ぼくは自販機で買ったホットの缶コーヒーを飲みながら、病院の上層階の窓を見上げた。  半年前、たまたまこの道を通ったときにふと目が合った少女は、もうそこにいない。  缶コーヒーを飲み終えたぼくは、金木犀の匂いを胸いっぱいに吸い込んで、ゆっくりと歩きだした。
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