月詠様の華麗なる日常

プロローグ

────私立聖蘭学園。

それは、都市部から遠く離れたところに位置する全寮制の男子校である。

広大な敷地の中には 贅の限りを尽くした施設が立ち並び、学園と言うよりはひとつの町と言った方がしっくりくるくらいだ。

生徒は資産家や著名人を親にもつ子どもたち――すなわち、富裕層の子どもや、超高校級の才能を持つ子どもが集められており、教師もあらゆる分野のスペシャリストが集められている。

最高の環境、最高の設備、最高の指導者が揃っているため、偏差値は日本で一二を争うぐらいに高い超進学校であり、数々の大会で素晴らしい成績を収める部活揃いの超強豪校でもある。

さて、そんな素晴らしい学校にも足りないものはある。

そう、｢異性｣だ。
思春期真っ只中の男子たちが女子のいない環境に放り込まれるとどうなるのか？

────異性への興味関心が同性へと向かうのだ。つまり、聖蘭学園の生徒の大多数はバイセクシャル、もしくはゲイである、という事だ。