4月:いつもの日常

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* この学校は無駄に校舎がでかいので移動するだけでも結構時間がかかる。 そのため我らが2-Sの教室に着く頃にはSHR開始ギリギリの時間になっていた。 教室のドアを開けて中に入ると、既に担任がいて生徒は着席していた。 「生徒会のお2人さん朝から仕事お疲れ様〜。出席とるから座っちゃって〜。」 そう声をかけてきたのは我らが担任 沖兎(オキト) 啓司(ケイジ)先生である。 彼は顔だけ見たら美形なのだが、いかんせん性格で損をしている。 そう。何を隠そう彼は超適当人間なのだ。 ほっとくとご飯も食べずにぼーっとしてるし、服装にもこだわりがないため たまにどこで買ったのかを問いただしたくなるような服を着ていることもある。(3日前はリアルなゴリラの顔が全面にプリントされたトレーナーに毒キノコ柄のスキニーパンツを履いていた) 彼は数学の教師をしており、授業だけはたまに適当な所もあるが基本真面目にやってくれるし、教え方が分かりやすいということで生徒に好かれている。 しかしやっぱり適当人間だから日常生活に不安があるため、彼にはこのクラスと教師陣にそれぞれ2人ずつ「うさちゃん飼育係」という名のお世話係がついている。 ちなみにこのクラスの1人は俺だ。 実は彼は生徒会の顧問も担当しているので、接点の多い俺が任命された。 「じゃあ出席とるぞー。 ……よーしいないやつ手上げろー」 「うさちゃん!それ無理だから!頑張って出席とって!!」 そして今ツッコミを入れた生徒がもう1人のうさちゃん飼育係兼腐男子の一条(イチジョウ) 英斗(エイト)である。 ダークブラウンの髪に同じくダークブラウンの瞳を持つ彼は、黙っていればただのイケメンだから、当然親衛隊持ちである。 しかし自分に親衛隊ができた時は「無理…! 俺自分じゃ萌えられない…!」と悔し涙を流していた。とてもキモかった。 ところが現在では、親衛隊を使い腐ネタを集めまくってウハウハしている。最悪だ。 一度でいいから奴の親衛隊員に本当にこれでいいのかと聞いてみたい。 ちなみにコイツはツッコミの腕を買われ、飼育係に任命された。(その時は「だから俺じゃ萌えられないって言ってんじゃねえか…!」と泣いていた。でもすぐに「俺うさちゃん好きだしいっかー」と言って立ち直っていた。) そして何とか無事にSHRが終わり、俺は窓側の1番後ろの自分の席から、教卓の目の前の英斗の席へと向かった。 「英斗、ちょっと話があるのでついてきてもらえませんか?」 「なになに!! ついに珱琉にも春が来た!? お相手は誰なの!? 生徒会!? 風紀!? それとも一般生徒かな!? えーー誰だろ誰だろちょっとシンキングタイムもらえる??」 喋り続ける彼に俺はニッコリと微笑み、彼の耳に顔を近づけ囁いた。 「うるせぇさっさと立てや腐れ野郎」 「ハイスイマセェェン!! 立ちました!どこへ向かうんですか!」 「或人も連れて廊下に出ましょうか」 廊下へ行く途中に或人を拾い、俺たちは教室を出た。そして人が少ない端の方まで歩き、そこで英斗にあのおぞましい絵を見せる。 「え!! なにこれ!! めちゃめちゃ欲しいんですけど! くれるの!?」 「違ぇよバカ。 そういう絵がここ1週間毎朝俺の靴箱の中に入れられてんの。 それで犯人を見つけたいからお前に見せたの。 お前なら画風で描いた奴特定できるんじゃないかと思って」 「英斗は校内の腐男子界隈のことにかけては最強じゃん? だからいけるんじゃないかと思ったんだよね〜」 「ふーん……俺もこの画風どっかで見たことあるんだよなあ…。 よし俺に任せろ! 必ず特定してみせるぜ!」 「さっすが英斗〜!」 「今初めてお前のことかっこいいって思った。」 「え!? 嬉しいけど初めてなの!?」 「だってお前普段キモイことばっかり言うし、ずっとニヤニヤしてるじゃん。はっきり言ってお前の親衛隊って物好きの集まりだなって思ってた。」 「うおぉぉぉい!! 上げて落とすなよ!! 俺の親衛隊に謝れーーーー!!!」
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