4月:いつもの日常

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* 午後は沖兎先生がプチ行方不明になるという事件が発生したが、うさちゃん飼育係の教師によって無事発見された。(飲み物を買いに行こうとして力尽き、途中の廊下で寝ていた) そして全ての授業が終わり、放課後になった。 部活に行く者や友達と遊びに行く者などで廊下が賑わうなか、俺と或人は生徒会室のある特別棟へ向かっていた。 長い道のりを雑談しながら歩き、生徒会室についたらそこには誰もいなかった。 「俺たちが一番乗りみたいだね〜」 「じゃあ俺お茶入れてくるから。 何飲みたい?」 「紅茶!」 「分かった。座って待ってて。」 生徒会室の中はとても広く、執務室の他に給湯室(カウンター付きキッチン完備)やシャワールーム、仮眠室などがある。 普通に住めるくらい快適な環境なので俺は生徒会室が気に入っている。 或人と自分に紅茶を淹れ、執務室へ持っていくとそこには生徒会役員が全員揃っていた。 「「えるちゃーん! 僕達にも紅茶ちょうだーーい!」」 今俺に話しかけてきたのは2年生の双子の生徒会庶務。 兄が百瀬(モモセ) 嶺亜(レイア)で、弟が百瀬(モモセ) 透亜(トウア)。 ストロベリーブロンドに染めた髪は猫っ毛で触り心地がとても良い。瞳は綺麗なブラウンで、この色彩によって双子の可愛さが増している。 2人の見た目は瓜二つなのだが、ところどころ違う点がある。 例えば、嶺亜は毎日違う種類のピアスをつけているが、透亜はそもそもピアスの穴を開けていない。 他にも、嶺亜はいつも金のヘアピンで髪をアレンジしているが、透亜は銀のヘアピンを使っている。(そのピンは俺がプレゼントしたやつ!) 2人はお菓子を食べることや人にイタズラすることが大好きで、しょっちゅう何かをしでかしている。 この前は中庭に「うさちゃんの小屋」と書かれた看板がぶら下げられてる天蓋付きのベッドを設置していた。 教頭はブチ切れていたが、うさちゃんは稀に見るハイテンションで喜んでいた。 (このベッドをいかがわしい目的で使う生徒が現れることを危惧されたが、生徒会やうさちゃん飼育係を敵に回そうという物好きはなかなかいないので今のところ無事である) この2人は抱きたいランキング同率3位であり、嶺亜は《牡丹の君》、透亜は《桜の君》という二つ名を持っている。 「える…おれも…紅茶…飲みたい……」 たどたどしい口調で紅茶をリクエストしてきたのは3年生の生徒会書記。 彼の名前は真城(マシロ) 静蓮(セイレン)。 オリーブアッシュの髪にぼんやりしたアンバーの瞳をもつ身長185cmの甘いマスクのイケメンだ。 しかしその中身はただの甘えん坊わんこ。 俺は本人に呼び捨てで呼んでと言われたので静蓮と呼んでいるが、たまにわんこと呼びそうになる。 人見知りで心を開いてくれるまでに時間がかかるが、心を開いてくれたあとはもう最高。 とても可愛い。本当に可愛い。 喋るのが得意じゃなくてたどたどしくなっちゃうのも、常に誰かにくっついているのも、いつもぽやぽやしているのも超可愛い。 みんなに癒しを与えてくれる。 そして彼はマイエンジェル結城 玲於くんの従兄弟だ。 2人ともぽやぽやしていて波長が合うらしくとても仲良しさんだ。 「れお」 「せーくん」と呼びあっている。あー可愛い。 この2人の血縁の方々はみんなこんなに可愛いのかをいつか調査してみたい。 静蓮は抱かれたいランキング5位、抱きたいランキング10位と幅広い層に好かれており、《睡蓮の君》という二つ名を持っている。 「おいエル、俺にも淹れろよ」 淹れてもらう立場だというのに無駄に偉そうな子の男こそが我が学園の生徒会長サマ。 祇園寺(ギオンジ) (ミカド)サマである。 濡れ羽色の艶やかな髪をセンターパートにしてお洒落にセットしており、ラピスラズリのような深い蒼の瞳を持つ美形だ。 顔面偏差値が異常に高いこの学園でもトップクラスの超絶イケメン。 ルックスのみならず家柄・成績などすべてにおいて学園の頂点に君臨している。 抱かれたいランキングでは堂々の1位で、《宵闇の君》という二つ名をもつ。 抱きたいランキング1位の俺と合わせて《宵月の御二方》なんて呼ばれることもあるが、結構本気でやめてほしい。 そして彼は見た目こそ極上だが、性格に難がある。 以前広報委員会に生徒会メンバーのキャッチコピーを考えてくれと頼まれ、会長のは「俺様何様帝様」 「天上天下唯我独尊を地で行く男」 「歩く18禁」 などを提案したところ、会長にチクられ頭を叩かれた。 しかし俺は真実しか書いていない。 彼は超絶俺様であり、それと同時に超絶性欲モンスターである。 セフレの数は数え切れず、星の数ほどの男女を泣かせてきたこの男は、飽きたらポイを繰り返す最悪下半身野郎なのだ。 そろそろ誰かに刺されるんじゃないかと俺は思っている。 教育に悪いからマイエンジェルズ(玲於と静蓮)には絶対近づかないでほしい。 2人にはお清めの塩持たせておこうかな。 「嶺亜と透亜と静蓮には美味しい紅茶いれてきますね。」 「「わーいありがとう!」」 「…ありがと…」 「おい待て俺の分はどうした。」 「ちゃんと頼むことも出来ないバ会長に淹れる紅茶はありません。」 「……ほう。 お前も偉くなったものだな。 じゃあ俺に紅茶を淹れるのと今から犯されるのどっちがいい? 選ばせてやるよ。」 「スイマセン。 紅茶淹れてきます。」 そして渋々会長の分も紅茶を淹れ、少し雑談をしてから、それぞれの仕事に取りかかった。
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