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女の子
春……冬眠から開けた動物の動き出す季節。午前中の授業から解放された彼女達もまた、眠りから覚めたようにシャキッとした面持ちで、とある場所へ動き出そうとしていた……。
これは、私立野梅高校に通う仲睦まじい女子高生3人による、ヤバい物語であるーー
堰を切ったように、生徒たちが思い思いにリラックスし始める中、チトセは淡々と教科書をしまい、食堂へ向かう準備を始める。その後ろではマホが机に突っ伏していた。
端の席から、静かに歩いてきたユウコは、チトセの前で徐に財布を開き、お札をチラつかせながら
「あのぉすみません、チトセの初めては、いくらでしょうか?」
チトセはその場で数秒考え……
「なに言ってもまた、変なことにつなげんだろ。誰がその手に乗るかよ」
するとユウコは、驚いて口に手をあて
「えっ……何を言ってるの? チトセが初めて数学Bのテストで100点を取った答案用紙は、いくらなのか聞いたのだけど……。
あら、もしかして変なこと考えちゃったのかしら?」
チトセは刹那に遠い目をして
「わざとだろそれっ! 答案用紙買うやつがどこにいんだし!
てか、たしかにさっき100点初めて取ったけど……なんで分かるわけ? 怖いわ普通に」
ユウコは財布を閉めると、ニヤリと笑って
「それはもぉ、顔を見れば分かったわ、ふふ。チトセはすぐに顔に出るから、分かりやすいのよね。普通に」
「うわめんどくさ……てか、早く行かないと売り切れんぞ。マホのやつ、まだ寝てんのかし、ったく……」
ユウコはくすっと笑って、腕を枕にヨダレを光らせるマホの机の下にしゃがみ込むと
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