夕焼けの売り子

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 太陽と月は偉大だけど、昔は喧嘩ばかりしていた。同じ空に現れてはお互いに天に昇ろうとするので、見かねた神様が、昼は太陽の時間、夜は月の時間だと決めた。  しかし「昼と夜の間」をどうするのか? という新しい問題が生まれた。急に夜から昼に変わってしまっては地上が大混乱に陥ってしまう。  そこで神様は空売りの少女に助けを求めた。「前にいただいた昼と夜のほかに、中間の空もいただけないでしょうか?」と。 「そんなものはないですよ」 と少女は言った。 「この世には明るい昼と暗い夜以外ないのです。雨と雪というオプションはありますが、毎回昼と夜の間が雨や雪では、地上は疲れ果ててしまうでしょう」 「そこをなんとか。頼む」  神様は両手をすり合わせて空売りに頼み込む。 「わかりました。少々面倒ですが、空を仕入れて参ります」  そう言って空売りは神様の元から去った。はるか遠く、宇宙の果てになら、まだ知らない空が眠っている気がした。
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