プロローグ 終わってしまった日常

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 小学校の休み時間には真っ先にサッカーボールをひっつかんでグラウンドを駆け回り、家では親にねだって手に入れたボールを、庭や公園で蹴り回した。テレビや本で知らない技術を学べば必死になってできるまで練習したし、サッカーだけは他の誰にも負けないという自負の念すらも持っていた。  その甲斐あってのことだろう。小学生の高学年になる頃には卓抜した実力を身につけ、俺は地域で名の知れた選手になっていた。中学校に上がるとすぐにサッカー部でレギュラーの資格をもらい受け、いきなり試合に出てみれば、あろうことか大活躍。すぐに学校ではエースなんて呼ばれたりして、メンバーに頼られれば必ず期待に応えるような、そんなチームの中心的存在になるべくしてなった。  ゆくゆくはもちろん部長を担い、サッカーの名門私立高校に進学してもっともっと実力を付け、大学でも活躍し、いざ踏み込むはプロの世界――。
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