1人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうねぇ。こういう、身体が熱くなるお水? みたいなのは、初めて飲んだわ」
どうやら月には酒がないらしい。また一つどうでもいい知識を得る。
いや、そんなことより。
「んで、肝心のユエとやらは補給できたのか?」
「ん? まあ、ぼちぼちかな。ひとまず経口で摂取するには十分な量だったわ」
「そうかそうか。そりゃあ、よかったよ」
俺の淡白な返しにアオは「さてはあんた、信じてないわね?」と訝しげな顔を向けてくる。
もちろんのこと、半信半疑だ。偶然とはいえ彼女の所望のものを探し当てたのだから、信じる信じないまでは俺の自由である。
それから俺は、アオに家の中を軽く案内し、生活の流れを一通り説明した。一応相手は客だから、家事や雑事を手伝わせるわけにはいかなくても、せめて自分のことは自分でやってもらいたい。代表的なのは着替えとか風呂とかだ。
最初のコメントを投稿しよう!