壹、 天兎 1

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 そんなこんなで土曜日は暮れ、日曜は、前々からじじいに言われていた境内の掃除を一日かけて行った。  アオは時たま戯れに喋りにきたが、大半の時間は部屋の窓際や境内の本殿、社務所の屋根の上などで、日光浴ならぬ月光浴をしていた。新月の前後は月も昼間に出ているからだろう、アオはできるだけその光の届く場所にいて、まさに日向ぼっこそのもののようだった。  口は随分と達者だったとはいえ、保護されてからまだ数日。体調が万全ではないのは明らかだ。眠っていると気が緩むのか、たびたび頭からはピョコっと、折れた白い耳が現れては風に揺れる。  そいつを視界の端に捉えながら、俺は改めて、妙な奴を拾ってしまったと思った。
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