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ようやくパンを飲み込もうとしたところへの思わぬ不意打ち。盛大に吐き出しそうになるのをなんとかこらえる。咳き込みながらアオを見ると、彼女はピョンっとフェンスを飛び降りて、俺の横に座り込んだ。
「え、何? 隠してるつもりだったの?」
「か、隠すも何も……いや、別に……」
「あっはっは! そっか、あれ隠してたんだ? ごめんごめん」
「お前……ちょっとそれは、笑いすぎだぞ」
隣のアオは、まるで転がるように短い両手で腹を抱えている。
俺は頭を抱えたい気分だ。
「まあまあ、いいじゃない、照れなくてもさ。あたしほどともなると、ユエで他者の心を読むって芸当も、できたりできなかったりよ?」
「嘘だろ……もう、なんでもありかよ……」
読心術? それってもしかして読心術ってやつか? いくらなんでも反則技だぞ。
信じられない思いでアオを見ると、彼女はまるで俺の心の声に答えるかのようにニヤリと笑った。こいつ……。だったらこっちは、心頭滅却するまでだ。
「ああもう、やめろやめろ。勝手に人の心を読むな。月見里は、別にそういうんじゃないから」
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