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……もう本当、どこで聞いてやがったんだ。まさか午前中、ずっと俺はこいつに見られていたのだろうか。俺が怪訝な顔をして黙ると、アオはそれを黙秘の逃げだと思ったのか、途端にこちらへとにじり寄ってきて言う。
「あっ! あんた、もしかしてここで黙る気? いいとこなのに! 無駄よ。あたしがユエを使えばそれくらい――」
「わかった! わかった話すって!」
ああまったく! なんて面倒くさい兎なんだ。
ただ、ここまでダイレクトに訊かれると、それはそれではぐらかすのにも骨が折れるものだ。昔話くらいはしてやってもいいかもしれない、とそう思い始める。
俺は仕方なく、脳内にて時計の針を逆回転。忘れもしないあの日を思い返して話した。
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