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「何よ。思ってたより随分と真面目な取っ掛かりね」
俺のあぐらの上で、ごろんと寝そべった兎姿のアオが言う。話を聞かせているうちにのらりくらりと近寄ってきて、最終的にこの格好で落ち着いたようだ。毛深いので暑くてたまらない。
「真面目で何が悪い」
「いやぁ、悪くなはないけど……面白くもないわねぇ」
退屈そうに間延びした声に合わせて、アオは四肢をクッと伸ばした。
「そうだよ。お前の笑い種になるようなことは何もない。人の心読んでまで知るようなことじゃないんだ。いいか、プライバシーだぞ。覚えとけ」
「ぷらばし? よくわかんないけど、ま、いいわ。今のが作り話ってわけでも、なさそうだし」
「作り話であってたまるか。あと、次からその心を読む術。使用禁止な」
「はいはい。いいわよ、別に。だって、ユエで心なんて、読めるはずもないんだしね」
「は!?」
おい、今こいつなんて言った?
驚いた俺が急に立ち上がると、寝っ転がっていたベッドを失ったアオは、地面に頭を強かに打ちつけ「んあ゛っ!」と叫んだ。
相変わらず短い両手で必死に頭を押さえながらこちらを睨む。
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