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「ちょっと! いきなり立ち上がるんじゃないわよ! 危ないでしょ!」
「知るか! それよりお前、さっき言ったじゃないか。ユエで他者の心を読む芸当もできるとかなんとか」
「はぁ? できたりできなかったりって言ったじゃない! できるわけないでしょ!」
「なっ! じゃああれは、カマかけやがったのか!?」
「カマかけたってほど、くればーなことしてないわよ。あんたが自分から話し始めたんでしょ!」
アオは鼻先をプイっと横にやって澄ました顔をした。白兎の外見が愛嬌ある分、こうなると余計に憎らしい。しかもクレバーという単語が妙なイントネーションで、最近覚えた言葉を使ってやったという感じがさらにムカついた。おおかた家のテレビか何かで聞いたのだろう。
この暑さも含め、赤面を自覚しながら俺は叫ぶ。
「アオお前! もう今晩、飯抜きだ! あの酒もなし!」
するとお澄まし顔だったアオも途端に毛を逆立て、後ろ足でタンッと鳴らす。
「な、何よそれ!? ちょっとあんた、それはあんまりじゃない! 外道なの!?」
「外道はどっちだ! 性悪兎!」
「誰が性悪よ! あたしのユエが尽きたらどうしてくれんの!」
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