天兎 3

14/14
前へ
/321ページ
次へ
「知るか勝手に尽きてろ!」  俺とアオはしばらくの間、そうして叫び合っていた。兎相手に口喧嘩など、端から見たら完全に気が触れたと思われるような行為である。そういう意味では周りに誰もいなくて幸いだ。  結局、アオはひとしきり俺に文句を吐くと、鼻息荒くピョコンと柵の外に飛び降りて去った。勝手に現れたかと思いきや、騒ぐだけ騒いで勝手に帰っていくなんて、とんでもない奴だ。  しかし、まあいい。どうせ夜になれば、すっかり忘れてけろっとしているのだろう。
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加