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貳、 ユエ 1
他人に言っても信じてもらえないかもしれないが、今の俺にとって、学校はそれほど嫌な場所ではない。会いたい人がいるというだけで、驚くほど気持ちは違ってくるものだ。席に座って授業を受けている限り、ずっと想い人を見ていられる。一週間なんてあっという間だ。
ちなみにアオはアオで、月曜以降もときたま学校に現れた。そのせいだろうか、いつしか、どこからともなく「学校の中に大風呂敷を担いだ兎が……」なんて噂も出ているようだった。呆れるほどにシュールな噂だが、まあ実際に捕まることがなければ誰も本気にはしないだろう。
そして金曜。この日の下校時、アオは兎ではなく人の姿で学校に現れた。校門前で姿勢良く、華やかな姿で佇む着物姿の若い女性は、非常に周囲の目を集める。しかも明らかに異国人めいた銀髪蒼眼。改めて家の外で見ると、目眩を覚えるほど非日常的な存在だ。おかげで俺まで余計な注目を浴びることになる。まあいっそ見られるのは諦めるとして、それでも妙な誤解を生んでほしくはない。特に月見里の耳には、入ってほしくないものだ。
俺はとにかく早足でアオのところまで向かい、無言でその手を取って学校を離れた。
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