貳、 ユエ 1

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「お前、ちょっと目立ちすぎだよな……」 「あんたがあそこで待ってるように言ったんでしょ。あたしはただ立ってただけよ」 「いやまあ、そうだけど!」  確かに、それについては間違いない。週末にじじいの病院を訪問するから、今日は学校帰りに駅でそのための買い物をする予定なのだ。もともと一人で済ませるつもりだったが、そのことを今朝アオに話したら、同行すると申し出てきた。  けれども、アオはスマホのような遠隔の連絡手段を持たないから、俺が事前に待ち合わせの時間と場所を指定しておいた。「行き違いになると困るから、わかりやすい校門がいい」と。  結果がこれだ。わかりやすすぎるのも問題である。しかしながら今回は完全に俺の失態。こいつの容姿格好の奇抜さを考慮に入れなかった俺のミスだ。  奇抜ゆえに人目を集め、秀麗ゆえに人目を逃さない。言動がどれだけ残念でも、一般的にアオの外見が優れているのは事実なのだ。
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