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あたしに対する気持ちをあいつがどんな風に変化させたのかは知らないけれど、あたしのあいつへの気持ちは変わらなかった。むしろ会えない程、想いは募った。
実際に今日、一か月ぶりに会えることが決まってからは嬉しくてたまらなくて、久々に会えた時にちょっとでも可愛いと思って欲しくて、雑誌で男受けが良いと特集されていた赤色のニットをわざわざ買ってしまったくらいだ。
だけどこの初めての赤はもう、本来の目的を果たせない。
久々のデートは待ちきれなくて、待ち合わせ場所だったこのカフェに予定よりも三十分以上早く着いて。そしたらさっき、電話で別れを告げられた。
好きかどうかわからなくなったって言われた。なんだ、それ。
プライドなんて捨てて縋ってみたけれど、あたしが何を言ってもあいつはごめんとしか言ってくれなかった。最後に顔を見ることすら、許してくれなかった。
あたしは本当に馬鹿だ。何であんなやつの言うことを全部信じたんだ。いや、信じなきゃやってられなかったんだ。だってあたしはあいつが好きだったから。あいつの気持ちがあたしから離れ始めているなんて事実に気付きたくはなかったんだ。
だけど、目を逸らし続けた結果がこれだ。
事実と向き合っていれば、こうなる前に何かできたことがあったかもしれないのに。馬鹿すぎて呆れる。ほんと、傑作だ。
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