プライア

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健の部屋に通され、相変わらず狭 くて、こ汚ない。という相棒に 「だから言ったろう。 嫌(や)だったら帰れ」 買い求めた雑誌をテーブルの上に 投げ、健はとりあえず、そこいら を取り片づけながら、コンパクト な冷蔵庫からバドワイザーを取り 出したが、十真はすでに素裸で健 のシングルベッドに納まっていた。 健は十真にビール缶をそっと手渡 した。 「寝床のすぐ脇に食卓… 弥生時代の家屋に近い」 評しながら十真はプルトップを押 し上げた。 「嫌みか?」 「機能的だってホメてんだ」 「確かに。料理をしながら TVが観られる」 十真は口笛を吹き、飲み口の金具 を押し下げ、ふたりは軽く缶どう しを触れあわせ、風呂あがりの体 に流し込んだ。 「肴、乾きもんしかないの?」 「ったく。気に入らなきゃ 食うな」 「じゃ、いらない」 「おい…」 それから十真が雑誌をパラパラめ くり 「健、ここなんかどう?」 ページを指し示し、健はコーナー を読んだ。 江戸川区 スワッピングクラブ あらゆるカップル対応 駐車場有り
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