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「十真…」
部屋に戻るなり、紙袋(ペーパーバ
ッグ)を手に持ったまま、健は十真
を抱きすくめた。
「何? 何があった?」
「フラッシュバック…」
「バーガー冷(さ)めちまう。
不味(まず)くなる前に食わせろ。
健、スイーツ忘れたな」
しかし、夜食はそこらに放り投げ
られて、健の腕が十真の背から腰
に降ろされた。
「来週末に備えて温存
しとくんじゃ… あっ、
コーラ、こぼれたっ!」
健はティッシュボックスに手を突
っ込んで、ひと塊りを握り出し、
投げつけるようにして床のコーラ
を吸い取らせ、氷と、幾分残りの
入った紙コップをテーブルの上に
置いた。
「水っぽくなって、
飲めたもんじゃなくなるぞっ」
「十真…しずかしずかで…」
耳もとで囁(ささや)いてトランク
スを引き降ろした。
「さっき、食ったろ?」
「摘まんだだけだ」
「ああっ! なんてこという…」
十真は目を逸らして唇を噛み、顔
を床に向けた。
健は掌で十真の顎をつかみ持って
自分の前に引き戻した。
まなざしが交わった。
ふたりしてクリーム色のパイル地
のシーツになだれ込み、ベッドで
唇を重ねながら、健はもどかし気
に自らジーンズを外した。
それは裏返されたまま床に落とさ
れた。
「クレバネットが濡れてる…」
久しぶりだ、こんなのは…強く抱
かれて甘い痛みをこらえるのは…
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