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「天ざる。大盛り。十真は?」
「同じの。並で」
呈された膳部から、カラリと揚が
った海老を、十真は向かいの健の
編皿に乗せた。
野菜をひとつ健は十真に返した。
「いいのか?」
「どうせ食えないんだ。
残すよりは」
「半分ならどうだ? それほど…」
「だめ。タンパク多過ぎ。数値
オーバーしちまう。健、そんな
顔されたら蕎麦が不味(まず)く
なる。一生食えないわけ
じゃない。バランス調整が必要
(いる)んだ」
「十真、俺から振っといて、
すまないが…食いながら病
(やまい)の話は止めようや。
どうだ? 味」
「悪くない」
ビデオレンタルショップに併設さ
れた大型書店を通り越し、街の角
(かど)にある、こぢんまりとした
書店前で健はバリオスを停めた。
「ちょっと待ってて」
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