プライア

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十真に言い置いて内に入り、すぐ に3冊ほどの雑誌を買い求めてき て、そのうちの1冊を、おまえに やるから、せいぜい活用しろ。と 言いかけ 「おまえの部屋に親御(ご)さん 出入りする?」 十真に訊(たず)ねた。 「親は滅多来ないが 業者が入る。清掃業者」 「十真、おまえって意外と 不用心だから…」 「なに? そんなにヤバイ本?」 「そんなヤバくは…」 健は十真にチラと表紙を見せた。 「ああ、それ、知ってるよ。 で、こっちは?」 「あ…っ、ちょっと…」 「おお、バストとスリットのある 綺麗なお姉さまのと、はい?! ショタ(少年愛)!また極端な。 分かんないな、バイ(両性愛者) って…」 スリットとスポット、どちらにも ダイブできます。 それって能力(ポテンツ)なのか? 才能(タレント)なのか? 「十真、俺は有るものを活用 してるだけだよ。 大旨(おおむね)楽しく。けど、 なんなんだろうね? なぜ、 恋人にはキスはおろか手を握る ことすらできないんだろう? 告(こ)くれもしない。おまえは、 そんなことない?」 そう尋ねられた時点で「おまえは 恋人ではない」と言明されたよう なものだと思いながら、十真は頷 (うなず)いた。 (心当たりがある) 「でも、健の場合はさ、健が そうしようって思えば、できる わけだろ? キスしたり、手 握ったり、抱きしめたり… オフェンシブ(攻撃的)に。 そういうの、俺、面倒くさい」 「相手に言やいいんだよ。 ハグしてって」 「年上の男性(ひと)になら 言えるんだけど…」 「だろ? 俺は年上の女性(ひと) になら言える」 「はああ?プライベートなこと 訊いて申しわけないが、 目下の恋のお相手は、 おいくつですか?」
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