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「膝をついて座れ、狐雲様の御前じゃ」
「は、はい!」
「チッ……」
鷹海に指示され、いろりは柔らかな緑の苔が生えた地面に正座する。
蛇珀は不満気な顔で胡座をかき、鷹海は片膝をつき跪く形で頭を下げた。
「東城いろり、蛇珀が世話になっておるな」
「あ、い、いいえ、そんな、お世話だなんて滅相もございません!」
「隠し立てせずとも神眼や水鏡で知っておるぞ。そなたたちの様子はすべて……な」
「え……?」
すべて知っていると言われたいろりは、蛇珀との仲睦まじい様子も見られていたのかと思い当たり、顔を赤くしたり青くしたりを繰り返し焦った。
そんないろりの反応を楽しむように、狐雲は狐らしく目を細め笑った。
「あっ、え、えぇと、あの」
「狐雲! いろりで遊ぶんじゃねえ!!」
「これはすまぬ。反応が愛らしゅうて、ついな。……さて、蛇珀」
狐雲の細く切長の目が蛇珀を捕まえる。
「確かに人間界に滞在する許可は出したが……丸一月音沙汰なしとは、いただけぬな」
「うっ……、ま、まあまあそう言うなよ。ほら、土産持って来てやったからさ!」
そう言って立ち上がった蛇珀が懐から出したのは、いなり寿司であった。
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