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「そうか、お前の斧か……」
女神はギロリ、と俺を睨むと。
「わかった。返してやるから金払え」
「は?」
「聞こえなかったのか。金を、払え。一本につき十万円で手を打ってやるぞ、破格の値段だろうが」
ちょっと待て、なぜに新品の斧を買うより高い値段を要求される羽目になるのか!
というか、何でこっちがお金を払わなければならないのか!
「貴様らの考えなんぞ手に取るようにわかる。……ああそうとも、私も最初は正直者たちに金の斧と銀の斧をプレゼントしてたのさ……けどなぁ!」
女神はそんな俺に、涙目でシャウトした。
「噂を聞き付けた奴等がわんさか来るせいで!湖の予算が足らなくなって、天国の神様から借金する羽目になったんだよどーしてくれるんだ!!お陰で私ゃ毎日毎日内職して借金返す日々だぞ、全部全部お前らのせいだーっ!!」
「ええええっ!?」
「かくなる上は、お前みたいに欲深い奴から金を巻き上げて借金返済にあててやるう!斧返してほしかったら金寄越せ、合わせて百万円!」
「無茶言うな!」
「じゃあ斧は全部廃棄処分だ、処分費用払え、百万円!!」
「結局金取るんじゃねーか!!」
「払わないなら払うまで、毎晩お前の夢枕に立って天国のBL雑誌の濡れ場を朗読してやる刑に処すぞ!!」
「地味に嫌すぎるー!!」
ああ、なんでこんなことに。血走った目で金を寄越せと喚く女神に、俺の理想像はガラガラと崩れ去っていったのだった。
楽して儲けようなんて考えるもんじゃない、ああ本当に!
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