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春の季節が近づいて、暖かい日が差し込んでくる三月の中旬。休日の朝日が眩しい午前中、自室のベットに寝転がって黒羽出雲は息を整えていた。出雲は弱い癖がついている薄い茶色の髪を弄りながら高鳴る心臓を鎮めようとしていた。
出雲は身長百七十五センチの細い体型ながらも体を鍛えていたので、筋肉が程よく付いている。出雲は自身の二重の目を右手で擦り、周囲の人達から平均よりは格好いい顔と言われているも、本人にはその自覚はない。
出雲はベットから起き上がると、窓側にある机の上に乗せている国立中央魔法学校高等部の試験結果が届いていた。出雲は静かに机の方に歩き、机の上に乗せてある洋型封筒を右手で握った。
「この封筒の中に俺の人生の結果が書いてあるのか……この封筒の中の紙で人生が変わるって怖いな……」
出雲は着ているジャージの皺を手で伸ばすと、何度か息を吐いて意を決して封筒を開いた。すると、封筒の中に一枚の折られている紙が入っていた。その紙には合格通知書と題名が書かれており、出雲はその合格という文字を見て絶叫をしてしまう。
「やったー! よっしゃー! これで約束を守れる!」
出雲が絶叫をしていると、部屋の扉を何度も強く叩く音がして勢いよく扉が開いた。扉を開けて入って来たのは一歳年下の妹の奏である。奏は髪色は黒色で前髪は右わけの斜めバングをしている。奏はその髪型も相まって目鼻立ちがハッキリしている美少女と近所で有名である。
「もう! お兄ちゃん朝からうるさいよ! 何かあったの?」
「あっ! 聞いてくれよ奏! 俺合格したんだよ! 国立中央魔法学校に!」
「嘘でしょ!? あの魔法が判明していなくて扱える魔法がないお兄ちゃんが!?」
奏が言っている魔法が判明していないとはどういうことか。それは、人は生まれた際に淡い様々なその人特有の決まった色を纏って生まれてくる。火属性なら淡い赤を、水属性なら淡い青色を纏いながら生まれてくる。しかし、出雲は淡い白色を纏いながら生まれていたのである。
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