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「俺には属性魔法を扱える素質がなかった……今判明している属性に当てはまらなかったし……」
出雲が言っている属性魔法とは、火・水・土・風の四属性に加えて、派生している氷属性などの属性魔法である。生まれてくる人は誰しもいずれかの魔法を使えるはずなのだが、出雲はどの属性にも当てはまらない色を纏いながら生まれてきた。
その際に医者や家族が調べてどの属性なのだろうと当てはめるも、どれにも当てはまらなかった。公的機関にも頼んだが、それすらもお手上げであった。出雲はそれ以降属性魔法の練習が出来ずに、この世界の不適格者の烙印を知らず知らずのうちに押されていた。
「俺も属性魔法を扱えたらなぁ……なんで俺は扱えないんだろう……」
出雲はどうしてだろうと思いながら布団を被って目を瞑った。目を瞑っている最中に、出雲はどうしてだろう、なぜだろうと頭の中をその言葉が巡り続けていた。
「俺はどうして属性魔法が扱えないんだ……誰でもどれかの属性を扱えるはずじゃないの?」
どうして、どうしてと考えても答えは見つからない。そんなことを考えていると次第に眠くなってしまい、静かに出雲は寝てしまった。どれくらい寝たのだろうか。出雲が静かに寝ていると不思議な淡い光がベットの脇に立っていた。
その姿は人型であるにも関わらず男とも女とも分からない姿をしていた。その人型をしている淡い光は、寝ている出雲に対して目覚めの時ですと鈴が鳴る声で出雲に語り掛けていた。
「目覚めの時です。 あなたの力が目覚める時が来ました……これから多くの試練が訪れることでしょう……しかし、あなたの力は世界を救う力となります。 その力で未来への道を繋いで——」
その言葉を言い終えると、人型の淡い光は掻き消えるようにその場から姿を消した。
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