第1話 運命の始まり

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 出雲は寝ているのにも関わらず、その人型の淡い光が発した言葉が頭の中で響いていた。出雲は夢の中でその人型の淡い光と会っていた。夢と現実。どちらが本体か分からないが、出雲はその言葉を聞いてどういう意味なのと夢の中で返答をするも、その言葉は人型の淡い光に届くことはなかった。  出雲は夢の中でも人型の淡い光が消えると、静かに目を開けた。一体何が起きたのか分からない出雲は、自身のベットの横から暖かい何かを感じていた。 「なんか暖かい光を感じたけど、気のせいかな? この宙のこの辺りが暖かいんだけどなー」  十二時過ぎの丁度いい昼食時に起きた出雲は、髪の寝ぐせを触りながら不思議な顔をしていた。出雲はゆっくりとベットから出ると、リビングに歩き出す。 「寝てたのにまだ眠い……寝てたはずなのにとてつもない疲労感が……」  頭を右手で抑えながらリビングに入ると、そこには正人達が夕食の準備をしていた。出雲はご飯あるなら呼んでよと口を尖らせて言った。 「ごめんごめん。 まだ寝てるかなと思って先に準備をしていたんだ」 「お兄ちゃんを起こしに行ったら爆睡してたから準備が終わるまで寝かせようって優しさだよぉ!」 「それはありがとう! もっと早く起こしてほしかった」  出雲は欠伸をしながら冷蔵庫を開けてお茶をコップに注いだ。その注いだお茶を飲みながら食卓に並べている椅子の一つに座ると正人がカットされているフルーツケーキを出雲の前に置いた。
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