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「これどうしたの?」
「奏が選んだのよ。 お兄ちゃんはこういうケーキが好きだって言って」
「そうだったんだ。 ありがとう奏! 絶対美味しいやつ!」
奏は喜ぶ出雲を見て良かったと安堵をしていた。出雲は楓が昼食として作ってくれたサンドウィッチと共にフルーツケーキを食べていた。
「美味しい! 母さんの作ってくれたサンドウィッチも最高! 何個でも食べてられる!」
「そう言ってくれてありがたいけど、食べすぎはダメよ? 奏も、そんなに勢いよく食べないの!」
「はーい。 気を付けまーす!」
奏が左手を宙に上げて楓に言うと、ゆっくり食べなさいと楓に言われた。
「美味しいから仕方ないわ! 美味しいのが悪い!」
「なら、悪いサンドウィッチは回収しますねー」
「ごめんなさい! 許してー!」
奏はサンドウィッチが置かれている皿を楓に片付けられそうにいなってしまい、楓の腕を涙目で奏は掴んだ。
「持ってかないでぇ……まだ食べたいのー!」
「美味しくて悪いサンドウィッチを食べたいの?」
「食べたいですぅ! ごめんなさぁい!」
奏のその顔を見た楓は、小悪魔な表情を浮かべて奏の前に皿を置いた。奏はありがとうございますと言いながら、泣きそうな顔をしつつサンドウィッチを食べ進めていた。
「相変わらず母さんは怖いな……怒らせないようにしよう……」
「俺もそうする……ていうか、昔に何度か怒らせて家から追い出されているからな俺……」
男二人はそんなことを話しながら静かに昼食を食べていた。その後は家族で談笑をしながらゆっくりと過ごしていた。そして、ついに出雲が国立中央魔法学校高等部に入学する日が来た。
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