神のとりきめ

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神のとりきめ

「神様、お願い」  この社に来る人間は、みんなそうやって私に願いを掛けていく。それは古くからこの地に住む人間も、他所からふらりとやって来た人間も、どちらも同じだ。  なんにせよ、我々神は誰かひとりのためだけに奇跡を起こすことはできない。正確には、起こしてはいけないという取り決めがあるのだ。  それを歯がゆく思ったことはない。そういうものなのだと、少なくとも自分は納得しているからだ。  けれども、他の神はどうなのだろう。奇跡を起こして助けたい人間がいたりはしないだろうか。  もし奇跡を起こすことが赦されたとして、私は奇跡を起こすだろうか。いや、きっとそれはないだろう。  赦されていても、その様な力は私には無いのだから。
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