1#神様に助けを乞うクマ

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 ガヤガヤガヤガヤ・・・  ふぁんふぁんふぁんふぁんふぁん・・・  「危ないですよ!!近寄らないで下さい!!この中にクマがいます!!」  ・・・どうしよう・・・  ・・・この建物から出られなくなっちゃった・・・!!  ツキノワグマのプゥタは、とあるスーパーマーケットの中に籠ってブルブル震えていた。  ・・・したかないんだよぉ・・・!!  ・・・山の中のドングリや木の実がなかなか見つからなくてさぁ・・・  ・・・お腹が空いてたまらなくなって、少しだけ禁忌を破ってでも人里に入ってちょっと人間の食べ物を失敬しようとしたら、  こんな事になるなんて・・・!!  ・・・僕は馬鹿だ・・・!!  ・・・この状態で外に出たら、すぐそこに待っている人間のハンターに撃たれて殺されちゃうよ・・・!!  「ハンターの皆さん!!早く中のクマを何とかして下さい!!  何時まで経っても店が開きません!!」  カチャカチャカチャカチャ  外で、人間のハンターが銃に弾を込める音が恐怖の余りハァハァと過呼吸になったツキノワグマのプゥタの耳に入ってきた。  ・・・もうだめだ・・・僕殺されちゃう・・・!!  「神様!!居たらお願いします!!僕をこの建物から無事に出して下さい!!」  ツキノワグマのプゥタは鋭い爪の生えた手と手の甲を合わせて、スーパーマーケットの天井を見上げて必死に拝んだ。  その時だった。  ぬっ・・・  ふうわり・・・  「呼んだ?」  「うわっ!風船が喋った!」  「しーっ!俺は君を助けに来た。」  スーパーマーケットのワゴンの下から、がツキノワグマのプゥタに話しかけてきた。  「お、俺を助けに?」  「そうさ。私は君を人間に死なせたくない。だからこっちこいよ。」  「こっちこいって・・・」  ツキノワグマのプゥタは困惑した。  「君、今さっき『助けて神様!』って拝んだよね?  だから俺は君の『神様』だ。  助けに来たんだから、このワゴンの中に一緒に来いよ。」  「『神様』・・・?!」  ツキノワグマは黄色い風船の言われるがまま、スーパーマーケットのワゴンの覆いを捲って中へ潜った。  「うわー!中は空洞?!」  「そうさ。実はここの下は下水道のマンホールなのさ。」  ツキノワグマのプゥタは、の後をついて下水道のトンネルを潜って手探りで歩いた。  ぱかっ。  「んー?!」  ツキノワグマのプゥタは、黄色の風船が昇っていく穴から外を見た。  「あれ?」  穴にはマンホールの蓋が開いており、その外にはツキノワグマのプゥタが人里へ向かう時に通った道だった。  「さあ、君の森へお帰り。もう二度と人里にくるんじゃないぞー!!」  黄色の風船は、ツキノワグマのプゥタの廻りをふわふわと躍りながら浮かんでいた。  「うん!ありがとう・・・風船さん。」  ツキノワグマのプゥタは、見守るようにふわふわ浮いている黄色い風船を振り向き振り向き、会釈をしながらのっしのっしと元来た森へ帰っていこうとした。  パァン!!  「えっ・・・風船割れちゃった!!  ありがとう・・・風船さん。」  ツキノワグマのプゥタは、割れた黄色い風船を握りしめて住処の森に帰っていった。  森に帰ったツキノワグマのプゥタが振り向くと、美味しいドングリがいっぱい生ってる木を見つけた。
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